流しても久保竜彦

開幕戦、久保は2−0でリードしている後半37分からの出場である。
平繁が2点目を取った時、久保の出番は無いかなと思ったが、ペトロヴィッチ監督が空気を読んだのか、少しでも試合に慣れさせようとしたのか、久保の登場である。
後半の2点リードでの出場からか今日の久保は力を抜いて、流す感じでのプレーだった。
それでも見所を作る所は流石である。
その見所は3つである。
右足でのミドルシュート
ハイボールの胸トラップ
ストヤノフとのパスワーク
まず右足でのミドルシュートだが、久保は試合前の練習時は結構右でのシュートを打つのだが(うまく決まらない時はヤケクソ気味で蹴り込む)試合で、それもミドルシュートはセロックス杯のPK同様稀である。
流石に右だから威力はそれほどなくキーパー正面だったが。
次のハイボールの胸トラップは、力を抜いて「フワッ」としたジャンプでの胸とラップである。この胸トラップの前にも競り合う場面があり、その時はそんなにジャンプをせず、競り合いもしなかったので今日はこんな感じかなと思った上での「フワッ」だったのでこれまた新鮮だった(笑)。
最後にストヤノフとのパスワーク。
やはり久保のレベルの高い選手とのやり取りは何気ないプレーでも見ごたえがあるねぇ。
どんなプレーかというとストヤノフが左サイド側中央ラインのちょっと先位までボールを運び、敵が前に来たので、そんなに離れていない左サイドライン際にいた久保にパスをするのであるが、久保も敵二人に囲まれる形になる。そこで、左サイドラインを背に、左足でバックパスの流れに見せかけての右足で左サイドライン際の裏へのノールックパスである。もちろん走りこむのはストヤノフである。
そんなに足の速くないストヤノフだが、久保のノールックパスを感じとって懸命に走るのである。また久保のパスが素晴らしいのが、タイミング的に早めでパスの初速に勢いがあり、左サイドラインを超えてしまうかもと思いきやボールがライン際で止まるのである。そしてそのままストヤノフがサイドの奥まで持ち込み、ニアに走りこんで来た久保にパスと出すのであるが、ここでは敵に寄せられて久保はシュートは打てなかった。だがこの一連の流れがすごいのである。
このなんていうのだろう、レベルの高い選手同士の阿吽の呼吸というのか、信頼関係というのか。
俺は久保が身体能力、得点能力だけでは無くこういうプレーもできるから、久保に海外のクラブでプレーして欲しかったのである。
このレベルのやり取りができた、他の選手は横浜Fマリノス時代のドゥトラ位である。
今後もストヤノフとの絡みは楽しみである。
さてサンフレッチェ広島であるが、戦術的にはゼロックスの鹿島アンとラース戦の前半と同じ戦術である。
鹿島アントラーズの様なプレスは無く、また懸念していたドン引きの戦術でも無かった。
おまけに前半終了間際にいいタイミングで先取点が取れ、後半相手が少し疲れてきた所で追加点も取れた。
この戦術は機能すると、こちらの運動量はもちろん必要なのだが、相手にも運動量を必要とさせる事ができる。
今日の様な試合がいつもできるといいのだが、果たしてどうなる事やら。